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「それは僕が作った車だ!」

デザインとシステムエンジニアの意外な共通点 インタビュー
– デザインの仕事は実に幅広い –

by 齋藤セシリアかおる

齋藤  :
岩浅さんこんにちは!IBMのOB、SEでいらした岩浅さんに、システムエンジニアについてとデザインとの関連性をインタビューしたいと思います。私は、広い意味で、システムエンジニアも、デザイナーだと捉えているんです。デザインとは設計そのものですし。

岩浅  :
齋藤さんがお考えは、僕の考えに重なるようだと段々分かって来ました。感性を発露させるプログラムは、システムエンジニアのコアをデザインすることと似ています。

僕はシステムエンジニアとしてキャリアは長く、これまで、150社以上のシステム設計を手掛け、パナソニック、シャープ、SUBARU、アリタリア航空、近々では、BMW生産ラインの為のシステム設計等もしてきました。

ーシステムエンジニアとはどんなデザインをするのでしょう?

大抵の人はSEをコンピュータ、ITの仕事だと思っているでしょうけれど。ITは、近年、道具の一つとして欠かせないものになって来てはいますが、手段です。

SEの本質は、仕組みを作ること。いわば全体を見渡し、隅々まで物事の運びがスムーズに行われるよう、問題を解決する事であり、本質的な幸福を新たに生み出すことでもあります。設計フィールドは、多岐にわたり、街、都市の機能や社会システムをデザインすることも、システムズエンジニアのデザインワークだと考えています。

ー携わる全ての人に意識を向けているのですか?

生産ラインの設計とは製品デザイナーだけでなく、それを製造してる人にも意識を向けます。例えば、車製造の最初から最後まで全ての工程を行える人はマイスターと呼ばれ、最後にエンジンの一部に自分の名前を刻印します。だから、これは僕の作った車だ!と嬉しくなり、誇りを持って世に送り出すわけです。また、一般工員たちも、マイスターを目指そうと努力することから、高い意識が生まれるわけです。

BMWの場合はこのように、楽しみながら成果を上げるというコンセプトで、創る人、会社、使う人にとっても喜びのある仕事の進め方のシステム設計をしました。

ーシステムデザインの根幹とはなんでしょうか?

やる気が上ると生産性があがる!それは、本当です。コストを削減するだけの生産システムを取り入れようとする会社は多いのですが、それでは本質的な豊かさを見失うことがあります。働いている人の働く意欲につながらず、ブランドイメージの失墜やお客様の使う喜びを奪い、売り上げ高にも影響するでしょう。僕のシステムエンジニアとしてのポリシーは、働いていることが楽しい!またその製品を使う人に喜びがある。それが、システムデザインの根幹にあります。

ー最後に、現在のライフワークをお聞かせください

10年以上取り組んでいる、パレスチナ自治区における支援活動があります。その活動のコンセプトは、地球の平和、調和、健康、豊かさの分かち合い、環境保護、雇用を増やし経済を安定させる、などがあります。これらは、全てシステム設計、と言えるものです。僕は、その為に、一級建築士免許も取得し、約85社をカバーする工業団地の設計に携り、既に15社の企業が入り活動を始めました。

この工業団地で、今後、様々な製品が作られ、輸出され外貨を稼ぎ、世界とも循環する経済の輪が作られて行くのです。

中東のこの地、そして世界の平和を願わずにはおられません。あらゆるデザイン設計は、それを目指して欲しいものです。

齋藤  :
知り合って、もう五年になりますが、今日は、滅多に聴けないエピソードと、岩浅さんの熱意と暖かさ、行動力に、大変感銘を受けました。

私はここ数十年、社会の様々な機能やフィールドがバラバラに設計されている印象を拭えずに来ました。それが社会問題を巻き起こす原因にもなっている、と。今後、個性を活かしながら、統一され調和した場に変えて行く事が必要だと思っています。

岩浅  :
ええ、それはとても大事ですね。

齋藤  :
私の感性教育の活動は、桑沢デザイン研究所創立メンバーの、彫刻家佐藤忠良先生からバトンを受継ぎ、2008年から始めました。

岩浅さんがパレスチナのシステムエンジニアのワークに取り組まれてきた期間と、私が感性のエジュケーションデザインシステムの設計と改善にかけた期間は、ほぼ同じぐらいですね。やはり、時間をかけないと決して育たない大樹がある。自分自身を長い目で観て育てて行く気持ちが、素晴らしいデザインの仕事、設計に繋がりますね。

岩浅  :
その通りです。

齋藤  :
昨今、気候危機で世界中が災害に見舞われ、人命、環境、そして産業経済、に大打撃です。そんな中、国連が打ち出したSDGs 17 Goal は、デザイナーにとっても、デザインの本質に還る機会になった、と感じています。

けれども、岩浅さんは、国連のガイドラインSDGs が決められるずっと前から、すでに、ブレずにデザインの本質を極めようとされていたんですね!

リーダーデザイナーとは、まさに、

半端なくクレージーな発想と情熱と行動力!素晴らしいですね!

本日は、おかげさまで、楽しいインタビューになりました。これから、岩浅さんの故郷にて、ローカリズムとグローバリズムを融合した、地方創生に関わるプロジェクトでご一緒したいと思います。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

ありがとうございました。

 編集後記


この岩浅さんのパレスチナ自治区の工業団地プロジェクトは日本のODAの資金援助を受け、海外支援組織JICA Project になりました。提案書を外務省に数回提出し、ようやく叶ったそう。昨年、惜しまれて亡くなられた国連難民高等弁務官

緒方貞子さんのサポートを経て実現したそうです。そうした人との出会い、人間関係の構築も、自分デザインのなせる技。 自身と対話するコミュニケーションそれは、デザイン力になるのだと知ることは、デザイナーには欠かせないと言えるでしょう。

また、インタビュー力、ライティング力、編集力、見せるグラフィック力、声を使う力、聴く力、全てがデザインと言えます。これを読んでいるあなたは、どの分野のどんな働きに興味があり、自分に向いていると思いますか。

それとも、全体を見渡せるデザイナーになるのでしょうか。将来の活躍を楽しみにしています。

齋藤セシリアかおる 記

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